学科長あいさつ

山本学科長

文学部日本語日本文学科
山本 欣司 学科長

 新入生のみなさん、はじめまして。文学部 日本語日本文学科、短期大学部 日本語文化学科の学科長を務める、山本欣司です。これからどうぞよろしくお願いします。

 みなさんはこれから、武庫川女子大学で学んでいくことになります。日文〈ニチブン〉学科の学生として、学科名の示すごとく日本語や日本文学、日本文化について様々な角度から勉強するのです。言葉は長い時間をかけて変化し続けますが、私たちにとって日本語は、それなしには生きていけないほど身近で大切な存在です。和歌や物語・神話は中国から文字がやってくるよりも前から、口伝え(口承)で受けつがれていて、日本の古典文学を形作ります。明治になって西洋の影響下でスタートした近代文学は、出版文化の隆盛とともにバラエティー豊かな変化を遂げました。そして日本文化は、世界に誇るべき多様性と存在感をかねそなえています。みなさんはそれらについて、じっくり学ぶわけです。

 とはいえ、新入生にとって「専門」というのはわかりづらいかもしれません。だから少し乱暴に要約したい、日文は「国語」であると。みなさんが小中高と12年間学んできた国語の授業を思い返してみて下さい。物語や説明文・評論、古文・漢文、言葉の意味や文法、書写など、さまざまな分野を通して、読解力や論理的思考力・判断力、表現力などの「国語力」を身につけてきたことと思います。現代文も古典も教材内容そのものが面白いし、難解な文章を深く読み取れるようになったり、文章が上手に書けるようになったりすると、そのこと自体が楽しく勉強のやりがいを感じます。大学の日文学科で学ぶことは、国語という教科の延長線上にあるのです。学ぶだけではなく、教職課程等を履修してそれらを教える資格も得られます(国語・書道・日本語)。1限は源氏物語、2限は小論文、3限は書道で4限は近代文学といったように、朝から夕方まで国語漬けなんて日もあるでしょう。興味に応じてさまざまな専門分野を学ぶことができます。

*

 コロナ禍が広がり、リアルなコミュニケーションが困難となる中、その重要性が再認識されたのは「国語力」だったと私は思います。対面でのコミュニケーションなら、表情や声のトーン・しぐさなどさまざまな手段を総動員して、私たちは意思伝達を行います。話の内容のみならず、顔の表情やしぐさから、自信のあるなしなども伝わってしまうため、人前でのプレゼンテーションには気をつかったものです。

 ところが、コロナ禍でのコミュニケーションにおいては、頼りになるのは言葉そのもの。SNSやLINE、学校のオンライン授業など、ネット越しのコミュニケーションが中心となり、相手の顔が直接見えないまま、文字だけで考えを伝える機会が増えました。誤解されないよう慎重に言葉を選ぶ必要があるため、今まで以上にやり取りに時間がかかり苦労したという方も多いかもしれません。相手に直接伝えるならひと言ふた言ですむのに、文章だと長々と説明しなければならないため疲れます。

 そういった場面で求められるのが、自分の想いをわかりやすい論理で言語化する力や、相手の言いたいことを正確に読み取る力です。国語力そのものといってよいでしょう。対面でのコミュニケーションにおいては、度胸のあるなしが印象の決め手だったりしますが、わかりやすい文章が書けるかどうかというのは教養の深さに左右されます。日文でみなさんは国語力を伸ばし、自分の未来を切り開いていって下さい。

学科長メッセージ・バックナンバー

寺島修一 学科長(2021年4月)

寺島修一 学科長(2018年4月)

教員の紹介

  • すべて
  • 古典文学
  • 近世文学
  • 近代文学
  • 漢文学
  • 書道
  • 国語教育
  • 日本語教育学
  • 言語学
  • 日本語学
  • 情報学
  • 古典文学

    くわしく見る

    影山 尚之

    影山 尚之教授

    かげやま ひさゆき

    専門領域: 上代(奈良時代)日本文学

  • 古典文学

    くわしく見る

    鈴木 隆司

    鈴木 隆司教授

    すずき たかし

    専門領域: 中古文学

  • 古典文学

    くわしく見る

    寺島 修一

    寺島 修一教授

    てらしま しゅういち

    専門領域: 中世文学

  • 古典文学

    くわしく見る

    山﨑 淳

    山﨑 淳教授

    やまざき じゅん

    専門領域: 日本中世文学、仏教文学、説話文学

  • 近世文学

    くわしく見る

    羽生 紀子

    羽生 紀子教授

    はにゅう のりこ

    専門領域: 日本近世文学、日本出版文化史

  • 近代文学

    くわしく見る

    小泉 京美

    小泉 京美講師

    こいずみ きょうみ

    専門領域: 日本近現代文学

  • 近代文学

    くわしく見る

    三品 理絵

    三品 理絵教授

    みしな りえ

    専門領域: 日本近代文学

  • 近代文学

    くわしく見る

    山本 欣司

    山本 欣司教授

    やまもと きんじ

    専門領域: 日本近代文学

  • 漢文学

    くわしく見る

    狩野 雄

    狩野 雄教授

    かのう ゆう

    専門領域: 中国古典文学(漢文学)

  • 平田 光彦

    平田 光彦准教授

    ひらた みつひこ

    専門領域: 人文学(芸術学,書道),社会科学(教育学)

  • 国語教育

    くわしく見る

    村山 太郎

    村山 太郎准教授

    むらやま たろう

    専門領域: 中古文学、古文教育

  • 日本語教育学

    くわしく見る

    上田 和子

    上田 和子教授

    うえだ かずこ

    専門領域: 日本語教育学、日本語教師教育、異文化間教育

  • 日本語教育学

    くわしく見る

    野畑 理佳

    野畑 理佳准教授

    のはた りか

    専門領域: 日本語教育学

  • 日本語教育学

    くわしく見る

    林 貴哉

    林 貴哉講師

    はやし たかや

    専門領域: 応用言語学、在外ベトナム人研究、日本語教育学

  • 言語学

    くわしく見る

    佐藤 勝之

    佐藤 勝之教授

    さとう かつゆき

    専門領域: 英語学、言語学(機能言語学、テクスト分析)

  • 日本語学

    くわしく見る

    木下 りか

    木下 りか教授

    きした りか

    専門領域: 日本語学

  • 日本語学

    くわしく見る

    設樂 馨

    設樂 馨准教授

    したら かおる

    専門領域: 日本語学

  • 情報学

    くわしく見る

    工藤 彰

    工藤 彰講師

    くどう あきら

    専門領域: 人文情報学、メディア表現

国文学会

大学は自主性を持って学ぶところです。
「武庫川女子大学国文学会」とは、学生主体による学びあいの場を広げて、学び究めるために設立された学科独自の団体です。
この学会は、文学部・日本語日本文学科と短期大学部・日本語日本文化学科の全学生と大学院生、専任教員が作り上げるものとなっています。
そこで、より深い教養を身につけてもらおうと、学科ならではの特性を活かした様々な活動を行なっています。

活動一覧

dice 講演会
外部から講師の先生を招いて開催します。時には発展的にシンポジウムを開催することもあります。
dice 談話会
学科にゆかりのある先生のお話を伺ったり、学生の希望に応じた企画が催されたりします。
dice 文学遺跡探訪
文学に因んだ日帰りコースのツアー。深い知識に恵まれた専任教員が引率しますので、ガイドブックには載っていないような所まで足を伸ばすことも…。
dice 機関誌『会員の広場』
各種行事の記録のほか、新しく着任された先生のインタビューや、先生方の研究のこぼれ話、毎年の修士論文・卒業論文の題目まで、注目記事が満載。書道を学ぶ学生が題字が巻頭を飾ります。
dice 出版物

武庫川国文

『武庫川国文』: 武庫川国文学会研究部会会員の学術誌です。武庫川女子大学リポジトリに搭載し公開されています。

学会はこうした体験をとおして社会性を培い、多角的なものの見方を養ってもらう、という普段の授業では行き届かない面を補充する役目も担っています。
国文学会とは、アカデミックな大学でしか出来ない行事を学生のチカラで達成していく、武庫川女子大学ならではの学会なのです。

公開講座

学科では、「ことばの力」を意識して日本語表現力を養ってもらうために、公開講座「ことばの力で未来を拓く」を毎年開催しています。
個性豊かな講師を毎年お招きし、「ことばの力」についてご講演いただいていますが、毎回多くの方にお越しいただき大変好評です。 過去開催してきたアーカイブをご覧ください。

講座アーカイブ

  • 第6回2019春原氏
  • 第5回2018山本氏
  • 第4回2017坪内氏
  • 第3回2016徳原氏
  • 第2回2017上野氏
  • 第1回2016青木氏

国際交流

大学内の環境

dice 長期留学生の受け入れ
各国協定大学からの留学生を受け入れています。机を並べて専門科目の授業を受けたり、ゼミ活動をともにしたりしています。
dice 短期留学生の受け入れ
夏に3週間の短期留学生を受け入れいています。日本語での交流会をして親睦を深めています。
dice 大学院の外国人学生
大学院修士課程では、外国人学生も在籍しており、これまでにも多くの留学生が日本語日本文学で学位を取得しています。

研修・実習

dice 海外文化体験演習:アメリカ分校での英語研修

 夏季休暇中に武庫川女子大学アメリカ分校(Mukogawa Women’s University U.S. Campus)に3週間留学するプログラムがあります。午前は4技能を総合的に学ぶ英語研修、午後は活動中心のプログラムで実践的に英語を学びます。過去には、現地の教育機関を訪問したり、日本を紹介する現地のイベントに参加したりなどの機会もありました。
 2023年度には本学国際センターが実施する「アメリカ分校夏季英語留学」に本学科から5名が参加しています。

dice 日本語教員養成プログラム
大阪YMCA国際専門学校、神戸インターカルチャー学院などで、教育実習を行っています。現場の先生方の授業見学の他、様々な仕事の現場を体験させていただきます。
dice 海外教育実習
韓国(大田広域市)にある韓南大学校、国立ハンバッ大学校での教育実習。授業の準備は大変ですが、現地の大学生との交流は、何ものにもかえがたいものです。
大学院生は、H23年度から、米国スポケーンフォールズコミュニティカレッジで、約8週間にわたって教育実習を行います。アメリカでの長期滞在によって、日本語教育を多角的に経験します。
dice キャリアガイダンス
海外で日本語教師として働いている卒業生(あるいはその経験がある先輩)、JICAや国際交流基金など公的機関から派遣された経験者を招き、キャリアガイダンスの機会を持っています。

交流活動

日本語日本文学科では日本語教育関連の授業やゼミを中心に、国内や海外で学ぶ留学生との交流活動を行っています留学生をゲストとして迎える授業や、海外とつなぎ、日本語や日本文化を学ぶ学習者と交流する授業などがあります。

日本語教員養成課程

 本学科の希望者は日本語教員養成課程に登録し授業を履修することで、日本語教員の資格を満たすことができます。養成課程ではインターンシップ授業などを通じて、積極的に国内外の日本語学習者との交流を行っています。
 また、日本語教員養成課程に登録する学生の中には、個人的にボランティアとして日本語を教える学習者も複数います。

関連施設

  • 言語文化研究所

    私たちが何気なく使っていることばの中にある、不思議な、興味ある法則を探求して、現代日本語の問題を追究しています。具体的には、方言、語源、若者ことばなど、さまざまな切り口から日常のことばを取り上げ、社会に向かって問題を提起し、リポートしています。また、毎年、言語文化セミナーを開催し、学生、地域の人たちと一緒にことばの問題を考えます。

    言語文化研究所のページへ

  • 書道教室

    書道教室は、大学だけでなく短大の書道の授業でも活用されています。コンピュータ室のような設備の派手さはありませんが、机の大きさや配置などに工夫がされておりおちついてじっくりと書道の学習ができるように考えられています。

    書道教室

  • PC教室

    日文学科のコンピュータ関連の授業は、大学全体の情報教育を行っているマルチメディア館のPC教室と学科独自のPC教室の両方を使って行っています。学科のPC教室では、動画編集やプログラミングの授業のほか、ゼミでも活用されていて、2室全52台のPCがネットワークに接続されています。

    PC教室

  • 附属図書館

    附属図書館のページへ

FAQ

Q1. 何を勉強するのですか?

A1.

高校までの国語を基礎に、さらに深くて幅広い日本の言葉について学びます。日本語学、日本文学、日本文化の知識を身に付け、コミュニケーションやプレゼンテーションなど日本語を実社会で使いこなす技能を習得することができます。

Q2. 大学で学べるのは現代文学だけですか?

A2.

日本語についての学びは現代だけでなく、大昔から現代まで網羅していますし、文学だけでなく日本語のしくみやなりたち、書道、情報まで幅広く学べます。1・2年次で日本語、日本文学、コンピュータに関する基礎的な知識を身に付けた後、3年次から少人数のゼミに属して専門的な勉強を進めます。

  • 日本文学:奈良時代から現代までの各時代と漢文学のほか、文芸創作も学べます。
  • 日本語:日本語の言語的な知識に加えて、外国人に対する日本語教育の知識を学びます。
  • 日本文化;文化の歴史や多様性を学びます。また書道を組織的・専門的に学び、作品制作をします。

Q3. 日本文学は他大学にもありますよね?

A3.

日本文学は、日本語によって書かれた文学作品や作家等を研究対象としますが、専門家はそれぞれ対象とする時代を限定します。本学のように、上代(奈良)、中古(平安)、中世(鎌倉・室町)、近世(江戸)、近代(明治・大正)、現代(昭和・平成)の各時代の日本文学から、日本文学の基礎となる中国文学、さらには書道に至るまで、それぞれ専任(非常勤講師ではない)の専門家が揃っている大学は極めて希少です。

Q4. 中学校や高校の国語の教諭になりたいのですが、資格は取れますか?

A4.

中学校と高等学校の国語の教員免許状を取得することができます。さらに副免許として、小学校教諭の教員免許状も取得することができ、日本語日本文学科出身で小学校教諭になる人も出ています。
なお、大学で取得できる「日本語教員」の資格は、日本語を「母語」としない人々(主に外国人)に日本語を教えるためのものであり、中学校や高等学校の国語教諭とは種類が異なります。日本語教員資格を取得できるのは、本学では日本語日本文学科だけです。この日本語教員資格では、夏季休暇中に韓国の提携大学(テジョン市のハンナム大学・ハンバット大学)で実習を行うプログラムもあります。

Q5. 情報の勉強は、どのくらいできるのですか?

A5.

Pythonという現在最も重要なプログラミング言語や、コンピュータで文章を解析するテキストマイニングの手法を学びます。また映像編集、画像編集のソフトを使ってコンテンツを実際に制作します。AIに関連する授業もあります。

Q6. 書道の勉強はどの程度できますか?

A6.

書道の教育は、他大学と比べて、かなり充実しており、実用的なものから芸術的なものまで、また、実作から高度な鑑賞まで、幅広く学ぶことができます。「高等学校一種免許(書道)」を取得することもできます。

Q7. 図書館司書、学校図書館司書教諭の資格について教えてください。

A7.

「図書館司書」は、公立図書館・大学図書館・専門図書館などで図書の収集・整理・提供の業務に携わる専門職の資格です。所定の科目を履修して、単位を修得すれば、取得することができます。
「学校図書館司書教諭」は、小・中・高等学校の図書館を運営・管理する専門的職務に従事するための資格です。学校図書館司書教諭の資格を取得するためには、教員免許状(教科は問わない)を取得しなければなりません。

Q8. 課外活動のようなものはありますか?

A8.

学生と教員等を会員とする「武庫川女子大学国文学会」というものがあり、次のような活動を行っています。

  • 会誌『武庫川国文』『会員の広場』の発行
  • 著名な学者や文化人を招いての「学術講演会」
  • 談話会
  • 文学遺跡探訪

いずれも普段の授業とは異なった趣向で、楽しく学習を深めることのできる企画です。

Q9. 海外研修は実施されていますか?

A9.

「海外文化体験演習」という科目があります。本学のアメリカ分校MFWIで約3週間、「日本語教育」実習と「英語研修」を行うものです。この科目で修得した単位は、卒業要件に算入されます。
なお、研修ではありませんが、海外で行うものとしては、大学で日本語教員資格を取得する人のうちの希望者が夏休み中の6日間、韓国の大学で行う、日本語教育実習のプログラムがあります。国際交流基金の補助を受けているため比較的、安価な費用で実習することができ、参加可能人数は10~15名です。
また、本学全体の共通教育科目には、休暇期間中にアメリカ・韓国・中国等の提携大学で行う「短期英語研修」「短期ハングル研修」「短期中国語研修」等があり、日文科の学生も多数参加しています。

Q10. 就職先はどのようなところですか?

A10.

小学校・中学校・高校の教員、公務員のほか、一般就職では様々な業種に就職しています。日本語学・日本文学・日本文化等の学習で培われた知識や思考力、問題解決能力、そして質の高い日本語力を身に付けていますので、あらゆる業種に対応することができます。
学生の就職を支援する大学全体のキャリアセンターや教職支援室のほか、学科にもキャリア対策委員や教職支援委員の先生がいて、日文科の学生の就職活動をバックアップしています。
「文学部」や「~文学科」に入っても、卒業後、就職先がないということが、何十年も前からまことしやかに語られていますが、少なくとも武庫川女子大学に関する限り、そのようなことはありません。日文科の就職率は他学科に比べて全く遜色ありません。