野畑 理佳

野畑 理佳 准教授
のはた りか

 2016年に本学に着任するまで、世界各国からのさまざまな日本語学習者に日本語を指導していました。
 ことばが好き、日本語そのものが好き。そして異文化への憧れ、世界のさまざまな人への興味。そんなところから私の「日本語教育」に携わる人生がスタートしたように思います。
 「言語教育は、その言葉が話せれば誰でもできる。」そんなイメージがあるかもしれません。しかし自然に獲得した母語を外国語として学ぶ人たちに説明することは、大変難しいものです。また日本語の知識だけでなく、日本語や教材の分析力、授業のデザイン力、新しい指導法の研究、教師としての内省力、世界の様々な学習者の背景についての知識、日本語を学ぶ人たちを理解し向き合おうとする姿勢など、さまざまなスキル、知識、態度が求められます。
 そのような世界について、自身の経験を交えながら、皆さんに伝えていこうと思います。

野畑ゼミブログ

連絡先r_nohata★mukogawa-u.ac.jp
(注)★を@に変えてお送りください。
担当教科日本語教授法、日本語教材研究Ⅰ、英語で読む日本 など
専門領域日本語教育学
所属学会日本語教育学会、異文化間教育学会、言語文化教育研究学会、質的心理学会、日本語プロフィシェンシー研究学会
経歴・大阪外国語大学外国語学部 日本語学科卒業
・大阪外国語大学大学院外国語学研究科修了 言語・文化学修士
・大阪外国語大学留学生センター非常勤講師
・北陸大学留学生別科専任講師
・国際交流基金関西国際センター 日本語教育専門員
・武庫川女子大学短期大学部日本語文化学科 准教授(~現在)
主な業績

・留学中の日本語学習動機とコミュニケーション意欲 ―交換留学生のL2理想自己、L2義務自己 をもとに-」(2021) 『武庫川女子大学紀要』第69巻<単著>
・「留学中の日本語学習者の情意要因の観察 -コミュニケーション意欲の変化とその要因-」 (2020)『武庫川女子大学紀要』第68巻<単著>
・「『まるごと 日本のことばと文化』を主教材とした専門日本語研修のコースデザインと評価」(2017) 『国際交流基金 日本語教育紀要』第13号<共著>
・「短期訪日研修における学習者の気づきの要因の分析」(2015)『間谷論集』第9号<共著>
・「活動記録」における学習者の文化認識に関する一考察 ―学習者の異文化理解へのかかわりを目指して―(2012)『国際交流基金 日本語教育紀要』8号<単著>

担当する授業の内容・魅力

「日本語教授法」では、代表的な教授法を紹介しながら、発音、会話などの授業についてポイントを紹介していきます。また「日本語教材研究Ⅰ」は初級レベルの異なるタイプの教科書を見ながら、どのような理念で作られているのかを押さえ、教室でどう使い何を補えばいいかを考えます。
私が担当する日本語教育系や日本語学系の授業では、毎回重要だと思ったことや質問を記述してもらい、それについて次の授業でフィードバックをしています。やりとりの中で気になったことについて取り上げるのですが、みなさんのコメントのおかげで元々は取り上げる予定のなかった大切なことに触れることができ、それが私の楽しみでもあります。

研究の魅力

実は「日本語を教えること」と「研究」には共通点があると思っています。それは「発見」と「学び」です。
日本語を学習する場で日本語や日本の文化社会について紹介するとき、学習者のさまざまな反応や質問から、大きな学びと発見があります。それは自身の視点を深く揺さぶるもので、新たに言語と社会についての学びが起こります。それは研究も同じです。
 私は質的研究といって、数値ではなく、語りや書かれたものの情報からその意味を分析しています。現在進めている研究では、日本語教師のことばをめぐる経験(母語を含め、言語学習を通じてどのような経験をしてきたか※)について、もう一つは専門学校生(留学生)の学習動機について、語られたことばや書かれた文章から、その意味を明らかにしていきます(※は上田和子教授の研究に参加しています)。
どちらも、経験について語られることばからは大きな発見と学びがあり、自身の考え方を豊かにし、社会について深く考えるきっかけとなっています。

紹介したい一冊日本語教育関係の授業でも紹介している一冊ですが、モハメド・オマル・アブディン氏の『わが盲想』(ポプラ社)です。

スーダンから来日したアブディン氏の奮闘記ですが、目が見えないまま日本語を学ぶということ、方言や専門用語との出会い、そして日本のさまざまな不思議と出会うこと、その経験がカラリと明るく楽しく綴られています。そんな世界を見せてくれてありがとう、と言いたくなる一冊です。