本学科教員のS・Kが、北のどこかの大学にいるK・Sのもとで、2026年4月から7月まで、食を育むことばの研究をする。その忘備録の一部をお送りする。
文学館は「美味しい!美味い‼文学Ⅱ」を開催中だ。K・Sと資料になるものがないか、調査に赴いた。小説や時代小説、詩、ミステリー、絵本などジャンル別に書籍と、美味しい食のシーンの抜粋と、作者の来歴が展示されている。一部、まずそうな食のシーンもある。甘いものを好まない登場人物が、好意の低い相手から大きなエクレアを手土産に渡されるシーン。エクレアに手を付けず、土産を持ってきた人物が食べるも、呆れや侮蔑が感じられる描写だった。このエクレアは美味しいのだろうか。一方で、腹が減っていたり、新鮮そうな食材を次々に並べたりした記述は、美味そうだ。どうすれば美味しい!美味い‼という表現になるのか。さっそく、受付に目録をいただけないかと申し出たが、無いという。再訪問して、60冊分の図書目録を作成した。

再訪問は開館時間10分前に到着した。文学館は、中島公園内にある。公園は、池やコンサートホール、彫刻や庭園があって、暇つぶしの散歩にはちょうど良い。すると、ある台座に「兵庫県明石市」という固有名詞が目に入った。その台座には、日時計があり、当地は基準地・兵庫県明石市より東だから進んでいる秒数を「時差表」を見て引く、ということが書いてあった。
目録作成は90分程度で終わった。持ち帰って、図書を取り寄せ、抜粋箇所の特定をしてテキストデータを作る。と、書けば一瞬で終わるように思われるだろうが、私家版あり新刊本あり、図書館だけで揃うだろうか。ともかく、中島公園近くのホテルでショーケースに並ぶケーキやシュークリームから、手のひらサイズの小ぶりなロールケーキを選び、K・Sの研究室に向かう。つい、あの描写を思い出して、チョコをまとったエクレアは重たく見えた。春の公園の空気には、ふわふわしたスポンジ生地と軽やかなクリームが丁度よい。
