寺島 修一 教授
てらしま しゅういち
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担当教科 | 「日本古典文学概論」「日本古典文学史」「中世文学講読Ⅰ・Ⅱ」「演習Ⅰ・Ⅱ」ほか |
専門領域 | 中世文学 |
所属学会 | 中世文学会、和歌文学会 |
経歴 | 大阪市立大学大学院(単位取得退学) |
主な業績 | 「『口伝和歌釈抄』所引「万葉」歌の性格─『人麿集』との関係から─」『国語国文』第79巻第12号(2010年12月) |
担当する授業の内容・魅力 | 古典で三大歌集というと『万葉集』『古今集』『新古今集』が挙がります。国語便覧などにはそれぞれの歌集の特徴として、『万葉集』は「写実的・素朴」とか、『古今集』は「理知的・観念的」とかいうことが説明されています。こうした説明は、それだけを覚えたところで、全く何にもなりません。『新古今集』は「絵画的・象徴的」などと言われますが、本当にそうなのかどうか、実際に和歌の表現を分析し、読み味わって、初めてその当否がわかります。歌集の特徴を覚えた後に和歌の読解があるのではありません。和歌を読んだその積み重ねの後に、歌集の特徴が言い当てられるのです。それぞれの歌集に特徴があるのは事実です。和歌を読んでいくうちにその歌集の特徴は自ずと理解されます。ある程度親しめば、初めて見る和歌であっても『万葉集』『古今集』『新古今集』のどの歌集の歌かを言い当てられるようになります。授業で和歌を読み進めると、そのことが実感してもらえると思います。 |
研究の魅力 | 専門は和歌、と普段は説明していますが、実はそれは嘘です。いや、嘘ではありませんが、正確ではありません。専門は歌学です。歌学とは歌に関する学問のこと。平安後期から鎌倉時代の歌学を専門に研究しています。この時期に歌学が発達してくるのですが、それは現在の和歌研究と同じではありません。現在出版されている古典和歌の注釈書なら語釈・口語訳・鑑賞といった項目がありますが、当時の注釈に一首の口語訳やその歌のよさについての鑑賞が著されることはまずありません。中心になるのは難語の注で、そこにしばしば歌語の由来を説き明かす説話や伝承の類いが付随してきます。また、和歌の注釈以外にも和歌の詠作に関わるさまざまな知識が見られます。そうした歌学知識を背景として『新古今集』に結実するような和歌が詠まれることになるのです。が、こちらはもっぱら歌学知識の沼の方にはまり込んで楽しく過ごしています。 |
紹介したい一冊 | 浅田徹『恋も仕事も日常も 和歌と暮らした日本人』(淡交社、2019年) 授業の最後に提出してもらう質問や感想を見ると、こちらが全く思い付かないようなことが書いてあって、感心することがよくあります。和歌が暮らしの中でどのような形で生きていたのか、ということはしばしば受ける質問の一つです。有名な和歌を読み解いたり、有名な歌人の人生を解説したりする本はたくさんありますが、暮らしの中の和歌を説明した本はあまりありません。この本は日本の生活文化における和歌の機能や様相を平易に説いたほとんど唯一の本だと思います。「恋も仕事も日常も」という副題(というか前書き)がよく内容を表しています。おすすめです。 |