工藤 彰

工藤 彰 講師
くどう あきら

 文学と情報学のあいだ(人文情報学)、文学と映像のあいだ(メディア表現)で研究教育をしています。散文を別の様式に変更することを通して解析・制作することが研究のアプローチです。人文情報学では、文学作品を電子テキストとしてコンピュータに取り込みテキストマイニングで、数値、グラフ、クラスター、マップ、ネットワークに変換して俯瞰的・客観的に分析をおこないます。メディア表現は、小説を映像に翻案するアダプテーションが研究対象で、ゼミでは近代文学の散文や昔話を現代的な物語に置き換えた映像作品を制作しています。

工藤ゼミブログ

連絡先akudo★mukogawa-u.ac.jp
(注)★を@に変えてお送りください。
担当教科情報リテラシーⅠ・Ⅱ、コンピュータ概論、言語データ処理、情報処理特論Ⅰ・Ⅱ
専門領域人文情報学、メディア表現
所属学会近代文学会
経歴東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻 博士(学術)
東京大学大学院教育学研究科 学術振興会特別研究員PD・特任助教
東京工業大学・東洋英和女学院・国立音楽大学・東京都立大学 非常勤講師
主な業績

著書
・量から質に迫る-人間の複雑な感性をいかに「計る」か(分担執筆、新曜社、2014)

論文
・メディア表現演習によるアダプテーションの実践(学校教育センター 、2022)
・芸術を専攻しない学生のための省察的表現教育実践 授業感想文のテキストマイニングによる教育的意義と効果の検討(美術教育学研究 、2017)
・リアルタイムの創作情報に基づいた作家の執筆スタイルと推敲過程の分析(日本認知科学会奨励論文賞、認知科学、2016)
・小説の再帰的デザイン(デザイン学、2015)
・共通語の布置と変化に基づく並行形式小説の物語構造(情報知識学会、2012)
・計量分析による村上春樹長篇の関係性と歴史的変遷(情報知識学会、2011)

担当する授業の内容・魅力

・情報リテラシーⅠ・Ⅱ:基本的なMicrosoft Officeの操作を学びます。英文法とおなじで、自分にとって面白いかどうかは関係なく、これがルールなのだと割り切る勇気が必要です。
・コンピュータ概論:あっという間にプログラミング言語のトップに躍り出たPythonを学びます。
・言語データ処理:テキストマイニングの方法をKHCoderというソフトで学びます。ことばの分析に関心があるなら知っておいて損はありません。
・情報処理特論Ⅰ:動画編集をPremiere Proで学びます。カット編集、BGM、テロップ、+αのスキルを習得して、それ相応の動画を作れるように練習します。
・情報処理特論Ⅱ:モーショングラフィックスをAfter Effectsで学びます。テキストアニメーションや様々なエフェクトを使った高度な映像表現に挑戦します。

研究の魅力

気がつけばだれもやらないことばかりに取り組んできました。といっても、それに近しい分野の学者ならだれもが当然知ってこそいたものの、見て見ぬふりをしてきた領域に対し「それじゃあわたしが」と手をあげて、ずけずけとやりたいようにやってきただけのことにすぎません。幸いなことに(?)、わたしのごく周辺の人間は、その未開のジャングルへ進んでいく怖いもの知らずの男の背中を「どうぞどうぞ」と押してくれました。いま思うと人文情報学にしてもメディア表現にしても、既存の学問分野にはおさまらず、複数の領域に触れられることが魅力的だった、と言えなくもなさそうです。目下取り組んでいるアダプテーションはまさに領域横断的な研究で、文学であったり映画であったり、既存の独立した分野も振り返って学ばなければいけないことがたくさんあります。タイム・パフォーマンスが重視されるいまの世の中とは無縁に、そういった時間のかかる寄り道がまったく無駄にはならないと思えることも研究の魅力なのかもしれません。

紹介したい一冊『アダプテーションの理論』リンダ・ハッチオン

文学と映画のみならずさまざまなメディアを対象に、アダプテーションという現象を取り上げ、理論化を試みています。
近年のアダプテーションに関する議論はすべてこの書物の影響を受けています。