日文学科第4回公開講座「ことばの力で未来を拓く」
7月22日(土)に開催しました公開講座。今年の講演テーマは、「表現する言葉」。
講師に、近代文学研究者として、また俳人としても著名な、坪内 稔典氏にお越しいただきました。
第一部の坪内 稔典氏による講演では、「言葉は他人に伝わるのか?」という問いかけから始まりました。
人間は言葉を映像化するくせがあるようで、脳に届いた言葉を各々が映像化することではじめて、言葉を意味として理解するとのことでした。
しかしその、言葉によって想起される映像は人によって違うため、言葉は100%相手に伝わるものではないのだと、坪内氏は話します。
氏は、言葉は伝えようとすればするほど、正しく伝わらないという矛盾を説きました。それから、中原中也などが、言葉のない世界を幸せなものとして表現しようとしたように、言葉は通じないのがある意味では魅力的なのではないかと語りました。
そしてそれは俳句や詩、小説などの文学作品に大きく当てはまり、文学作品の「言葉」への読者の多様な解釈は、すなわち文学作品の成り立ちに繋がるのだと述べました。
講演で、聴講者たちに積極的にマイクを向けた坪内氏。会場では学生や地域の方々の、様々な意見が飛び交いました。
第二部では、本学科専任講師の小泉 京美先生の司会のもと、坪内氏と本学学生のトークセッションを行いました。
本学学生は、俳句を作る際の五・七・五のつけ方などを質問したのち、事前に作ってきた俳句を坪内氏に講評していただきました。
トークセッションは、終始和やかな雰囲気で進みました。
分かりやすく、またユニークな講演をしてくださった坪内 稔典氏、そして、猛暑にもかかわらず足を運んでくださった皆様、ありがとうございました。