日時:平成28年3月17日(木)14時~16時45分 場所:C-702
《発表内容》
・多田 正則 「葦原中国」における主宰神の交替について
《講演内容》
・山田 佳奈 太宰作品の先鋒―〈女性語り〉に焦点をあてて―
・森本 智子 宮沢賢治の〈郊外〉
14:00 開会
平成28年3月17日(木)14:00~16:45、C-702教室において博士課程研究発表会及び博士学位取得者記念講演会を開催しました。
春休み中にも関わらず、聴講生の中には学部生の姿もちらほら見受けられました。
博士課程研究発表会
14:05~14:50 多田 正則 「葦原中国」における主宰神の交替について
多田さんはこれまで『古事記』における主宰神の交替に関する論考を発表されてきました。今回は「葦原中国」における主宰神の交替について検討され、「葦原中国」の主宰神の交替には「高天原」の「天つ神諸」や「八百万の神の共に譲りて」のような「天照大御神とは異なる権威のはたらき」を必要とされているのではないか、という結論をだされました。
博士学位取得者記念講演会
15:05~15:50 山田 佳奈 太宰作品の先鋒―〈女性語り〉に焦点をあてて―
山田さんはこれまで太宰治の「女性語り」作品に焦点をあてて、論考を重ねてこられました。今回の講演会では、それらの論を統括され、太宰が女性語りで描いた女性は自立の壁に当たりながら、困難から逃げることなく、自ら考え、道を見定めようとした女性であり、その過程で語り手の女性は〈成長〉を果たしていくと論じられました。そして、自立していく女性をまぶしく見つめることのできる太宰の感性は、結果的に半世紀先のいまの世の中にも通用するとされ、〈女性語り〉は二十一世紀の今こそ、まぎれもなく太宰作品の先鋒として輝きを増している、と結論付けました。
16:00~16:45 森本 智子 宮沢賢治の〈郊外〉
森本さんは、同時代の諸文化や社会情勢の影響を多大に受けているとされる宮沢賢治文学について、特に造園学に焦点をあて、当時の造園学を象徴する「装景」という思想と、賢治文学との深い関わりについてご講演されました。造園学が賢治に及ぼした多大な影響を確認しながら、賢治文学における空間の特徴について分析をすすめ、同時代性を重視しながらも、そのフィルターを通してこそ顕在化する、賢治文学の独自性を提示されました。
以上のような内容で、研究発表会・講演会は無事終了しました。質疑も活発に行われ、たいへん有意な時間を過ごすことができました。発表者のみなさまおつかれさまでした。
講演会の後は例年通り、修士・博士の学位授与の祝賀会を開催しました。後輩から修了生へのメッセージなどもあり、和気藹々とした雰囲気の楽しい会合となりました。
学位を授与されたみなさま、おめでとうございます。