設樂ゼミでは何かと食を話題に取り上げてきました。2024年にカードゲーム作成をしたゼミ生の一人が、集大成として2026年3月、「味ことば」の機能について卒業論文「『おいしさ』を伝えることばーぼる塾・田辺が使用する味ことばの機能ー」を書き上げ、卒業しました。
卒業論文で資料としたのは、昨今スイーツの女王として注目される、ぼる塾・田辺の言語表現です。瀬戸賢一(2003)や瀬戸賢一(2022)、B・M・FTことばラボ・編(2017)ほか、主要な先行研究に基づいて、おいしい表現(食味表現)を分類すると、彼女がいかに多彩な表現を駆使しているのか、明らかになりました。とりわけ、比喩表現「上品な味」「優しい味」「恋の味」に注目すると、チャールズ・スペンス(2018)が指摘する形状の共通点があり、視覚が味に与える影響が認められました。また、「恋の味」には、認知に関わる興味深い考察を加えています。さらに、「味ことば」を盛り込む文章の特性として、文体指標MVRを用いて分析しました。(参考引用文献を含む詳細は、リンク先を参照してください。)
まとめとして、「味ことば」が多ければおいしさを強く伝えられる、という量の法則めいたことは存在せず、擬音語や擬態語、そして、断定的な修飾句といった訴求力の強さが味の想像をかきたてる、ということが分かりました。味の言語表現の一種「味ことば」は、読み手が味を想像するための「情報」であって、その情報を発信する書き手「田辺」の個性が、いわば「味ことば」の魔術師のような、多様な食味表現を生み出していたのでした。