文学研究科日本語日本文学専攻
修士二年生
日本語教育学専攻
指導教授 上田和子先生
修了後の進路希望 中学校国語教諭
大学院
大学院生の日常
大学院生はどのような一日を過ごしているのでしょうか?
また、どのような日々を送り、大学院を修了していくのでしょうか?
大学院生の日常生活をまとめました。
日本語教育学専攻 M・Yさんの一日

M・Yさんのとある金曜日
- 7時00分~10時00分 起床・登校
- 院の講義は2限以降に開講されるので、朝はゆとりを持って通学することができます。M・Yさんは自宅が大学から離れているので、通学には二時間ほどかかります。この時間を利用して、修士論文を執筆していく上で読まなくてはならない膨大な量の論文を読むようにしています。
- 10時00分~10時45分 研究室でお勉強
- 大学に到着したら、まず、研究室に向かいます。そして、電車の中で読んだ論文の内容整理などを行います。
語学の論文を書く上ではパソコンによるデータ処理は必要不可欠。武庫川女子大学の院は院生一人につき専用のデスクとパソコンが用意されているので、スムーズに研究を行うことが出来ます。
M・Yさんのデスク。普段はきれいにしていますが、発表会前になると右の写真のように本や雑誌が積み上げられていきます。
発表会が終わって真っ先にやること。それは掃除です!!
- 10時45分~12時15分講義(国語科教育演習)
- 国語科教育演習という講義では将来国語科教諭になったときに役立つ知識を多く得ることが出来ます。講義では主に、先生が実際に使用した指導案を見せていただきつつ、良い指導案の練り方を学習していきます。講義をされている中西先生はいろいろな小中学校で指導をされてきた先生なので、実際の教育現場で見たことや聞いたことを詳しく教えてくださり、とても勉強になります。
<大学院の教室>
大学院の講義は学部時代のゼミ教室のような教室で開講されます。先生を皆で囲み、主体的に意見を発表し、様々な問題を議論します。
- 12時15分~13時05分 お昼ご飯・お喋り
- お昼ご飯は研究室で、他の院生の方々とお喋りをしながら食べます。ファッションや好きなドラマの話なんかをすることもあるのですが、研究に関する話をすることが多いです。修士論文の進行具合を報告し合い、励ましたり、アドバイスしたりします。他の院生がどんなことをしているかを知っているので、もしも他の院生の研究テーマに関わる論文を見つけたらコピーを取ってプレゼントします。院生皆で仲良く支え合いながら、修士論文を書き上げていくのです。
いったいいつ誰が買いそろえたのか……? 研究室にはポットやコーヒーメーカーが揃っています。眠気を吹き飛ばし研究に集中するためにコーヒーは頻繁に飲みます。日文院生のほとんどはカフェイン中毒かも!?
- 13時05分~15時35分 教員採用試験対策講座
- 午後は、学部生を対象とした教員採用試験対策講座を受講します。数学や地理といった文系院生には苦手な科目を分かりやすく教えてくださるので助かっています。
近頃、中高生の活字離れが進み、その結果、文章力の欠如した学生が増えてきています。そんな学生たちに読書の喜びを伝え、高い文章力を身につけさせることのできる先生になりたいと思っています。夢の実現に向けて、日々精進しています。
- 15時50分~17時00分講義(日本文学研究Ⅲ)
- 日本語教育学が専門なのですが、日本文学系の講義も履修するように心がけています。それは、中学で国語を指導する際に文学に関する深い知識を持っていれば、自分自身の独自な教材研究視点をもつことができるのではないか、と考えているからです。
日本文学研究Ⅲの講義では、宮沢賢治の作品を深く読み解いていっています。賢治は中高の国語教科書に頻繁に登場する作家です。ですから、いずれ生徒に教えることも考えつつ真剣に講義に参加します。
<日本文学研究Ⅲ授業風景>
日本語教育学専攻の院生には難しく感じることも多くありますが、先生や近代文学専門の院生に分からない点は質問するようにして、疑問点を次に持ち越さないようにしています。
- 17時00分~17時30分 研究指導
- 講義が終わった後は、指導教授である上田先生の研究室を訪ねます。修士論文の進行具合を報告し、研究の方向がずれていないかチェックしていただきます。
また、ちょっとした雑談なんかをすることもあります。進路の話や日常のちょっとしたことなど、私的な面でも上田先生には支えになっていただいています。
<上田先生授業風景>
上田先生も大学院で授業を開講されています。
大好きな語学の授業ですから、とても楽しいです。積極的に意見を発表し、議論が発展するように努めています。
- 17時30分~20時00分 帰宅・夕食
- 家が遠いので、いつも17時30分ぐらいには大学を後にします。電車の中では教員採用試験の勉強をするようにし、時間を有効活用しています。
- 20時00分~22時00分 発表会準備
- 大学院では、研究の進行具合を報告する発表会が年に数度あります。その発表会に向けて、レジュメや発表原稿の作成に時間をつぎ込みます。より分かりやすい文章を書くために、文章の書き方が載っている本などを参考にし、悔いの残らぬ発表になるように努力しています。
- 22時00分~25時00分 教員採用試験勉強
- 発表会の準備が一段落付いたところで、教員採用試験の勉強をします。この時間帯は専門の国語の勉強をします。また、過去問を解いてみたりもしています。それに加えて面接の練習をすることもあります。
- 25時00分~ 就寝
- 床に就くのはいつも一時ごろ。
睡眠はきちんと取るようにし、明日への英気を養います!!
以上が院生M・Yさんの一日です。スケジュールがつまっていますから忙しくて辛いこともあるそうですが、学部のときよりも毎日が充実していて、楽しいとM・Yさんは笑顔で語ってくださいました。
M・Yさんのようにもっと勉強してみたい方は院への進学をぜひ検討してみてください!!
文章作成:小西美来
日本文学近代文学専攻 S・Kさんの一日
文学研究科日本語日本文学専攻
修士二年生
日本文学近代文学専攻
指導教授 たつみ都志先生
修了後の進路希望 博士課程への進学

S・Kさんのとある木曜日
- 7時30分~9時00分 起床・身支度
- 院の講義は基本的にお昼から。そのため、朝はゆっくりとゆとりを持って身支度をすることができます。研究活動には体力を使うので、どんなに忙しくても朝ご飯はしっかりと摂るようにしています。
- 9時00分~10時30分 登校
- 自宅から大学までの距離がずいぶんあるので、登校には一時間以上かかります。この移動時間を利用して、バスや電車の中で読書をするようにしています。大学院の講義では、先生がいろんな文学作品を紹介してくださいます。そんなふうに講義で軽く触れられた他分野の本をも積極的に読むようにし、知識を増やしています。
院に進学してくるのは、文学好きな方ばかり。好きな作家や作品をそれぞれ持っています。
院生同志で本の貸し借りをすることも多く、日々、文学について熱く語り合っています。左写真はS・Kさんが他の院生から借りている本。お互いにいろんなことを教え合いながら、楽しく大学院生活を送っています。
- 10時45分~12時15分 講義(近代文学講読A)
- 大学院生も学部の講義を聴講することができます。今期は一回生で開講されている近代文学の講義を聴講しています。担当の明里先生は学生の意見を積極的に訊く先生です。学生に意見を発表させつつ、講義を進めていきます。一回生の意見には優れたものが多く、気づかされることもたくさんあり、研究を進めていく上で良い刺激となっています。
学部時代に受け損なった大学の講義を受講することができるのも大学院の魅力といえるでしょう。
- 12時15分~13時05分 お昼ご飯・お喋り
- お昼ご飯は他の院生と食べることが多いです。研究に関する悩みを相談したり他愛のない雑談をしたりしつつ、楽しく食事をしています。研究分野の違う院生の話が自身の研究テーマの大きなヒントになることもよくあります。ですから、他分野の抱える問題点などを院生みなで共有し、考えることで、知識や論理力を深めていっています。
研究室には立派な書架があります。書架には作家の全集や主要な学術雑誌のバックナンバーが並んでいます。研究に必要な辞書・辞典類も揃っているので、快適に文学研究をしていくことができます。
- 13時05分~15時35分 図書館で読書
- 大学院の研究室は図書館棟の10階にあります。そのため、ちょっと思い立ったときにすぐに図書館に移動することができます。文学専攻の院生は図書館で空き時間を過ごすことが多く、図書館のいろんなジャンルの蔵書に目を通し、知識を深めていっています。面白い本があったら、他の院生に紹介し、“楽しい”を皆で共有するようにしています。
大学院生になると、図書館内の研究個室を使用することができます。発表会前はこの個室に籠り、レジュメ等を仕上げていきます。また、この個室で読書もします。
最近、S・Kさんは本の挿絵や絵巻物を見ることに熱中しており、研究個室の机いっぱいに本を広げて、書物の世界にのめり込んでいます。
絵巻や挿絵も作品解釈のひとつですから、その絵を見ることで新たな発見があるそうです。
- 18時00分~20時00分 研究指導
- 18時からは指導教授のたつみ先生に論文の進み具合を確認していただきます。論文指導に加え、進路の悩みやゼミの同級生の近況報告といった雑談もします。たつみ先生のことは研究者としてはもちろん一人の女性としても尊敬しているので、先生と過ごす時間はとても楽しく、充実しています。
たつみ先生指導風景
院生と指導教授の距離はとても近しいです。指導教授の先生には研究に関することだけでなく、いろいろなことを相談し支えになっていただきます。
また、指導の先生が学会発表をされる時には、そのお手伝いもし、指導の先生の良い所を吸収していくようにします。
- 20時00分~21時30分 帰宅
- 大学を後にするのはいつも20時近くになります。電車の中では、先生に指導していただいたことを反芻し、自身の論をより堅固なものにしていきます。
- 21時30分~22時30分 夕食
- 自宅に帰ったら家族と話しながらゆっくりと夕食を楽しみます。何をするにも体力は必要ですから、健康を考えた栄養価の高いものをしっかりと口にするように心がけています。
- 22時30分~23時30分 入浴
- 大学院生活は意外と体力を使います。お風呂にはゆっくりと入り、疲れをため込まないようにします。
- 23時30分~26時30分 発表会準備
- 大学院では自身の論文の進捗状況を報告する研究発表会があります。その発表会で、より良い発表ができるように、パワーポイントを作成したり、レジュメをまとめたりして、準備をしていきます。この日は三時間ほどその準備に時間を使いましたが、調子が良い時は明け方まで勉学に勤しみます。
論文を執筆していくのはとても体力を使います。そのため、院生の皆さんはそれぞれに癒しグッズを持っています。左はS・Kさんの癒しグッズ。動物の写真と本。
書籍の中では特に『育夫ノススメ』がお気に入り。主人公である恭子の生きざまを見ていると、前向きになり、頑張ろうという気持ちになるそうです。また、鳴尾ゆかりの作家、佐藤愛子さんの作品もお気に入り。
- 26時30分~ 就寝
- 床に就くのはいつも二時を過ぎます。
明日も元気に研究に励めるように睡眠はしっかりと取ります。
以上が院生S・Kさんの一日です。
『小公女』や『若草物語』といった良質の児童文学作品に囲まれて成長したS・Kさんは心から文学作品を愛しています。大学院に入り、論文執筆など大変なことも多いですが、文学を深く学んでいくことができ、とても楽しいとS・Kさんは語ってくださいました。また、大学院に入学し、文学好きな友達に多く恵まれたのも幸せとのことでした。
S・Kさんのように文学をもっと深く学びたい方は院への進学を考えてみてはいかがでしょうか? 素敵な出会いがあなたを待っているはずです!
文章作成:小西美来
修士一年の日々
修士一年次概要
修士一年次では、自身が修士論文でどのようなことを取り上げるのかを決めていきます。研究対象としっかりと向き合うと共に先行研究の整理を進め、知識を深めていきます。
また、大学院では自身の研究成果を発表する研究発表会があります。そういった発表会でよりよい発表をするためには、どのようなレジュメを作ればいいのか、といったことも一年次では学びます。
研究に関する初歩的なことを学ぶのが修士一年次であるといえるでしょう。

修士一年次のイベント詳細
- 入学式、指導教授の決定
- 大学と同じように、大学院にも入学式があります。式のあとは、研究室に入り、修士の二年間をどの先生に指導していただくかを決定していきます。ここで、大抵の院生は学部時代のゼミの先生を指導教授に選ぶのですが、大学でやってきたこととは違った方面の研究をしたいと考えている院生はその方面がご専門の先生を指導教授に選びます。学部で学んだことを基礎にして、今までとは違った研究をすることができるのも大学院の魅力であるといえます。
日文科の大学院生は左のような研究室で日々、研究に励んでいます。
ゼミ教室よりも少し広めの部屋を院生5,6人で使用するので、スペースはゆったりとしています。
- 国文学会発表
- 大学院に入学して、三か月が経過した頃、国文学会で学部生に向けて自身が卒業論文でどのようなことを取り上げたのかを発表します。発表に向けて、卒業論文を見直すことで、自身の研究の原点とはなんなのかをしっかりと掴むことができ、修士論文を執筆するエネルギーに変えていくことができます。
さらに、この発表会を通して、レジュメの作り方や発表原稿の書き方なども学びます。研究の初歩を学ぶことのできる発表会であるといえるでしょう。
国文学会での卒業論文発表会の様子
毎年、大勢の学部生が聴きにきてくださいます。大勢の聴衆へ向けての発表は少し緊張しますが、こういった発表会に参加していると、自身が院生になったのだという実感を持つことができ、嬉しくもあります。
- 修士二年生論文発表会参加
- 夏休みを目前に控えた7月。この頃になると、そろそろ修士論文のテーマを具体的に絞って考えていかなくてはなりません。ちょうどこの時期に修士二年の方々が自身の研究がどれぐらい進んでいるのかを発表します。その発表を聴講することで、自身の選んだテーマが修士論文のテーマとしてふさわしいものかどうかを考えることができます。
また、大学院を修了された先輩方の修士論文が図書館に収蔵されています。それらの完成した修士論文を読むことで、修士論文の文体や論理の展開方法を学んでいきます。
完成した修士論文は写真のように製本され図書館に保存されます。
原稿用紙換算で100枚近くの分量があるので、とても分厚いです。
「こんなに書かないといけないのー!?」と新入生は毎年ちょっとしたショックを受けます。しかし、書けるものなのです。書かないといけないのです。
- 第一次修士論文構想発表会
- 夏休みを利用し、自身が修士論文においてどのようなことを研究していくのかを具体的に形にしていきます。そして、ある程度研究の方向付けができてきた12月。先生方や他の院生を前にして、自身の現段階での研究成果を発表します。この段階では、まだまだ研究成果が未熟で、論もきちんと展開できていません。ですから、先生や先輩からいろんな意見をいただくことになります。その後は、そういった意見を参考にし、自身の研究をより良いものとするために研磨していきます。
武庫女の大学院は少人数精鋭なので、院生間の距離がとても近しいです。発表会だけでなく、日頃から、修士論文に関する意見を交換しあい、ともに勉強に励みます。
院生になると遠方の学会にも参加するようになるのですが、そんなときには、左写真のように学業成就のお守りをみんなへのお土産として買ってきます。「みんなで一緒に大学院を修了しよう!」が私たちの合言葉です!
修士二年の日々
修士二年次概要
修士一年の内に修了に必要な単位はほとんど取ってしまっているので、二年生になると講義に参加することはあまりありません。その代わり、修士論文の執筆や就職活動などに時間を使います。論文完成に向けて、何度も指導の先生のもとへ足を運び、研究の方向がぶれていないか、チェックしていただきます。
また、入学してきた一年生がより良い院生生活を送るための助言などもします。

修士二年次のイベント詳細
- 修士論文中間発表会
- 修士二年の七月、修士論文の中間発表会があります。修士論文の途中経過を先生方の前で発表する最後の機会です。たくさんの意見をいただくためにも、ある程度論を進めておきたいので、発表会直前は夜遅くまで研究室に残り、自身の論を煮詰めていきます。質疑応答では、厳しい意見をいただくこともありますが、そういった意見こそが自身の論文をよりよいものにしていってくれるのだとありがたく受け止め、修士論文完成に向けて、邁進していきます。
論文発表会のあとは写真のように先生方がいろいろと助言をしてくださいます。指導の先生とはまた違った角度から助言をしてくださるので、新たな発見を得ることができます。多くの先生に支えられ論文を書き上げていくのです。
- 修士論文提出
- 毎年一月中旬が修士論文の締め切りです。締め切りが近づいてくると大学に残れるギリギリの時間まで研究室に残るようにし、論文執筆に励みます。書けた分から指導の先生に添削していただき、直すべきところを指摘していただきます。修士論文を提出したのちは、完成した修士論文の発表会があるのでその準備を開始します。
武庫女の院生室は設備が整っています。デスクに、本棚、パソコンに加え、写真のようなソファーもあります。
論文締め切り前で疲れた時は、このソファーで仮眠を取ることもできます。いろんな備品が揃っている武庫女の院での研究はなかなか快適です。
- 修士論文発表会・口頭試問
- 自身の修士論文がどのようなもので、どんな付加価値があるのかを先生方や他の大学院生の前で発表します。この発表会は春の特別学期中に開催されるので、院に進学することを決めている学部生などが聴講しにやってきます。
発表会の後は、院生一人に対して三人の先生による口頭試問があります。この口頭試問をパスし、修士を修了できるだけの論文を書いたと認めて貰えれば、大学院を修了することが出来ます。
大学院研究発表会の様子
写真はH26年度修士二年生の中間発表会のもの。
最初の頃は、なかなか前を向いて発表できませんでしたが、慣れてくると写真のように堂々と前を向いて発表できるようになります。
ちなみに、写真を見て女子大なのに男? と疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんね。あまり知られていませんが、武庫女の院は男女共学なので、男子学生も入学してきているのですよ。
- 修了式
-
修士論文の論文審査を無事パスすることができれば、修了式が待っています。式にはドレスや和服といった華やかな格好で参列します。服装がかぶらないように事前にどういう格好で修了式に参加するかを決めておきます。H25年度は和服派とドレス派がちょうど半々に分かれました。